sigurros_tetsuのブログ

事実をもとにしたフィクション

ニュータウン宣言とブログに書かないことについて 2022夏-2024年1月

ニュータウンVという名義で「ニュータウン宣言」というアルバムを出しました。サブスクで聴けます。いいアルバムです。これはその成立の過程についての記事です。 ニュータウン宣言 2024年1月リリース 1. ラッキーストライクと陰謀の歴史 2.朝定食(380円) …

非意味的な世界における倫理の実践としてのリズム

ジョルジョ・アガンベンは「リズム」という語が、ギリシア語で「流れ去る、過ぎ行く」を意味するρέ ωに由来することを示した上で、一方でこの語には「この流れのうちにひとつの分裂、ひとつの中断を導 入しているように思える1」と指摘する。音楽作品におけ…

千葉ロッテマリーンズのブルース

1 (明転) B「えー、この星で千葉ロッテマリーンズが最後に優勝した1974年から現在にかけて経済は停滞と成長を繰り返しています。その中でも‥」 A「はい、タイムアップ」 B「‥まだ何も言ってないのに!!」 A「ダメだよ、ルールだから」 B「はい。‥じゃあ、…

走り書き 自殺について

「自殺するからお前らの人生で一番幸せだったこと語ってくれないか」という2chの有名スレッドを久しぶりに読みたくなって読んだ。 自殺したいという主に対し、他の人たちが、もっと生きてたらいいことあるぜ、と言ってみたり、最近合コンで巨乳とやれたから…

レコードストアデイ

(夜) まず胸だが、パンパンに張っている 簡単な自重での運動 数種類の腕立て伏せ プッシュアップを繰り返す 額に汗が滲む 次に足。やはりパンパンに張っている 同じく簡単な自重運動 スクワット。呼吸は乱さない 上下に揺れる。俺は一つのマシーンになる …

「シラケ」に汚染される私の意味世界。あるいは「レコードブーム」と私。

1.アナログレコードには本当に「意味」があるのか? アナログレコードがブームだ。しかしこのブームは何もアナログ情報への回帰、というようなものではない。どういうことか。 アナログレコードという媒体は俗に「ぬくもりがある」だとか「自然だ」とか「…

コント「僕に彼女ができたんだ」

コント「僕に彼女ができたんだ」 〈起〉 若林「次の方、杉山さん、どうぞ」 杉山「失礼します」 若林「はいはいどうぞ。今日はどうされました?」 杉山「……あの、今日は」 若林「今日はあなたで最後ですからね。もう外は真っ暗ですよ」 杉山「はい、あの、僕…

GEZANの美しさについて。あるいは個的な物語と普遍の緊張関係について

1 GEZANの『狂(KLUE)』を聴いた。集中して聴いたのは半年ぶりのことだ。全編をBPM100で揃え、まるで一枚で一曲の長編作品であるかのようにシームレスに繋いだ43分間。真っ赤な歌詞カードに、「安倍」「トランプ」と時の権力者を実名で記したひりついた歌詞…

自律した機関② 鈴木さん、スケッチ

2 母が毎日家にいるようになってから、カフェで過ごす時間が増えた。家が小さいくせに吹き抜けなこともあり家族のプライバシーは筒抜けで、オンラインでの授業や諸々の作業をこなすのには不便だったのだ。母はステージ4の卵巣癌であることが宣告され、手術…

自律した機関①

1久しぶりに会った友人の部屋には大量のガラクタが積まれていた。お互い地元では数少ない中学受験組で、地元で遊べる友人は他にはほとんどいなった。あいつはガラクタを一つ一つ手に取って俺に説明する。話によるとガラクタはそれぞれ磁石を使ったリニアモ…

母が癌になってからの話

1繰り返し見る夢があった。俺は何かに腹を立てている。猛烈に。それから、ヤケになっている。食器棚から皿を取り出し、地面に叩きつける。一つ一つ丹念に壊す。何度も踏みつける。他のものも壊すが、基本は食器が中心だ。食器棚が空になってしまうまで、何度…

朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた話⑤ 母の日。これで終わります。

5-15月10日。母の日当日。12時ごろに起きた。身体が重く、起き上がる気になれない。なんとか寝返りを繰り返して、自律神経を刺激する。それから、前日のバイトで出勤時間を聞くのを忘れていたことを思い出す。電話をかけなければならない。またいつも通り17…

朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた話④ 母の日直前。人体実験。

4-15月7日。バイトを早上がりしてオンラインでのハイデガー読書会に参加する。今日はその後に飲み会があった。ブログを書いている話をしたらメンバーのうち2人が読んでくれていた。割と評判が良くて嬉しい。それでつい口が滑って、それが事実を基にしたフィ…

朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた話③ 近況

3-1バイト先の花屋では「こやま君」と呼ばれている。俺の本名は「おやま」だが、最初に「こやま」と呼ばれた時に訂正し損ねて、それっきりだ。少しだけ仮名であることがなんとなく愉快だったのでもう一月以上、そのまま「こやま君」であり続けている。「ゲド…

朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた話② スケッチ 5月初め カフェ

2-1街に薄着の人が増えた。5月になっていた。日中は少し歩くと汗ばむような気候で、街全体を新緑の香りが覆っていた。世間はコロナ禍というやつらしいが、神奈川の外れにある小さな街にはあまり深刻な雰囲気はない。商店街には人が溢れ、一部のチェーンを除…

朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた話①

1朝ドラみたいな花屋でバイトを始めた。といっても別に花屋で働こうと思ったわけではなかった。経緯を書くと少し長くなる。コロナでバイト先が閉まってから何件か応募したバイトが全滅で、すがる思いで個人経営の小さなカフェに応募した。店主は小柄なおばち…